最近ではワイヤー矯正だけではなく、気軽にリーズナブルな金額で矯正できるマウスピース治療も注目を集めています。
しかし、矯正治療を進めていく上で気になるのが食事です。マウスピース矯正は自由に装置の取り外しができます。自由に取り外しできるとなると、装着しながら食事できるのかが気になりますよね。
そこで今回は、マウスピース矯正中の食事について、気を付けたいポイントについてまとめていきます。
マウスピース矯正中の食事で必ず行うべきこと
まずはマウスピース矯正中の食事での注意点を紹介していきます。注意点を理解しておかなければ、しっかりとした効果が得られない恐れがあります。
どのようなことに気をつければよいかをしっかり確認しておきましょう。
食事中はマウスピースを外す
マウスピース矯正装置を装着している際は、食事や間食中は基本的に装置を外さなければなりません。マウスピース装置をつけたまま食事を取ると、装置の変形や破損の恐れがあります。
また、マウスピースの隙間に食べかすが付着することもあるのにくわえて、虫歯および歯周病のリスクが高まってしまいます。「ちょっとくらいならいいか」と思って装置をつけたまま食事すると、後々大きなトラブルになりかねません。
食事後は歯間ブラシと歯磨きをしてからマウスピースを装着する
食事をした後は歯磨きをしてからマウスピース装置を装着するようにしましょう。
口の中を清潔にしてから装置を装着しなければ、マウスピースを外して食事をした意味がなくなってしまいます。
しかしマウスピース矯正の場合はワイヤー矯正とは違い、取り外して隅々まで歯磨きできます。矯正器具に食べ物が詰まってしまったり、磨きにくさを感じたりすることがなく、いつもどおり歯磨きできるのは嬉しいメリットです。
マウスピース矯正中の飲食時の注意点とのポイント
次にマウスピース矯正中に食べ歩きや飲み会をする際のポイントについてまとめていきます。マウスピース治療中でも問題なくプライベートの時間を楽しめるように、ぜひチェックしておいてください。
メリハリをつけて飲食する
マウスピース矯正の治療中はメリハリをつけて飲食するようにしましょう。
メリハリをつけてというと制限が多いように感じるかもしれませんが、不安に思う心配はありません。マウスピースの矯正装置は自由に取り外しできます。食事中にマウスピースを外すのを忘れなければいいので、食事制限が必要になるわけではありません。
マウスピース装置を外せば、自由に食事を楽しめます。
食事後は必ずお口をケアする
食事をした後はできる限りお口のケアを欠かさないようにしましょう。
繰り返しになりますが、歯磨きをせずにマウスピースを装着すると、歯石や食べかすが溜まって虫歯や歯周病を引き起こしてしまう恐れがあります。マウスピースを外して食事をした後は、しっかり歯を磨いてからマウスピースを装着するようにしましょう。
歯磨きだけではなく、フロスや歯間ブラシを併用するのもおすすめです。実は歯磨きだけでは、歯の汚れは半分程度しか落とせていません。フロスや歯間ブラシと併用して歯磨きをすると、8割以上も汚れを落とせるようになるのです。
マウスピースの収納ケースを荷物に入れる
食事中はマウスピースを外すことになります。しかし、マウスピースを外した後はどこに保管しておけばいいか迷ってしまいますよね。
そんなときに便利なのがマウスピースの収納ケースです。収納ケースがあれば、食事をする際に外したときでも安全に保管しておけます。衛生面でも安心できるので、管理するのに便利です。
マウスピースを覆う程度の大きさしかないため、ポーチのなかに入れておいても邪魔になりません。自宅用と外出用にいくつか用意しておくと安心できるでしょう。
マウスピース矯正だからこそのメリット
ここまで、マウスピース矯正を行っているときの食事のポイントをお伝えしてきました。
「食事の際に外すのはなんだか面倒」と思った人もいるかもしれません。
しかし食事のときに「外せる」のは、マウスピース矯正の大きなメリットでもあるのです。
ここで、マウスピース矯正ならではのメリットを見ていきましょう。
取り外せる
マウスピース矯正は、矯正中でも自分で取り外せるのが特徴です。
従来のワイヤー矯正は自分で外すことができず、万が一外れてしまった場合には歯科医に直してもらわなくてはなりませんでした。しかしマウスピース矯正なら、食事のときは自分で取り外し、飲食を楽しむことができます。
また、ワイヤー矯正はその形状から、歯磨きの際にどうしても磨き残しが多くなりやすい傾向にあります。そのため、ワイヤー矯正を行う際には、糖を多く含んだ食品は控えるよう控えるよう指導を受けることも。
さらに、矯正器具にくっつきやすい食べ物は矯正装置が外れやすくなってしまうため、なるべく避ける必要があります。キャラメルや餅のほか、グミ、ソフトキャンディーなどは食べない方が無難です。また、固い肉やせんべいなども避けた方がよいでしょう。
マウスピース矯正以上に、ワイヤー矯正では制限が多くあるのです。
しかしマウスピース矯正なら装着時間さえ守れば、自分のタイミングで取り外せます。
食事の前に取り外していつもどおり飲食を楽しみ、食後はしっかりと歯磨きをしてから装着すれば、問題なく矯正を継続できるのです。食事を制限されず、いつもどおりに過ごせるのはマウスピース矯正の大きなメリットといえるでしょう。
目立ちにくい
マウスピース矯正は目立ちにくいという特徴もあります。
ワイヤー矯正は歯の1本1本にブラケットという装置を取り付け、ワイヤーをとおして固定する方法です。そのため、とくに表面にブラケット・ワイヤーを取り付ける表側矯正は目立ちやすく「この見た目が嫌で矯正に踏み出せなかった」という人も多くいるでしょう。
しかしマウスピース矯正装置は無色透明のマウスピースを装着して矯正するため、食事や会話の際に口を開けても目立ちにくいのが特徴です。
「マウスピース」と聞くと、ボクサーが装着するようなスポーツ用マウスピースを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、見た目は大きく異なります。矯正に使用するマウスピースは歯の形に合わせて作られているため、歯にフィットし、ほとんど目立ちません。
厚みが0.5㎜程度のものもあり、装着しても矯正していることが気づかれにくいので、見た目が気になる人にもおすすめできます。
痛みが少ない
マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて痛みが少ないともいわれています。
人によって痛みの感じ方は違いがあるため一概に痛くないとはいえませんが、マウスピースには弾力性と柔軟性があり、口の動きにもしっかり対応してくれます。
また、ワイヤーに舌が当たった際の違和感や、調整後になじむまでの痛みもありません。
マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正には、人によってデメリットと感じる可能性のある部分もあります。
メリットとともに、デメリットについても知っておきましょう。
取り外しが必要
マウスピース矯正のメリットとして、食事の際に取り外して飲食できることをお伝えしましたが、そもそもマウスピース矯正では、マウスピースを装着したまま食事をすることはできません。
人によってはこれを面倒に感じ、デメリットと感じることもあるでしょう。
しかし、マウスピースを外して飲食し、お口のケアをしっかりしたうえで装着できるという点で、長期的に見て虫歯・歯周病リスクを減らすことにつながります。
お口のトラブルが増えれば結果的に歯医者さんに行く回数が増えてしまうため、マウスピース矯正で毎日しっかりケアできた方が後々の手間がないと考えることもできます。
治療が長引くこともある
マウスピース矯正は、基本的に1日に20時間以上装着しないと本来の効果が得られません。
装着時間をしっかり守って使用しなければ、本来予定していた期間内に治療を終えられない可能性があります。
常に装着しておく習慣をつければ問題ありませんが、クセづくまではうっかり忘れてしまわないように注意しましょう。
歯の状態によって対応できないことがある
マウスピース矯正は、歯並びの状況によっては対応できない場合があります。
たとえば抜歯が必要な場合や重度の出っ歯、受け口、叢生(そうせい:歯が重なりあっている状態)の場合などには対応できません。
しかし、部分的に対応できる場合もあるので、お口の状態が気になる場合には歯科医に相談してみましょう。
まとめ
今回は、マウスピース矯正しているときの食べ物や飲み物について解説してきました。
基本的にマウスピースを外せば、食事制限がかかることはありません。矯正期間中も、いつもどおり食事を楽しめて、虫歯・歯周病リスクが上がることもないのが魅力です。
またなんといっても、見た目にほとんど変化がないのがうれしいポイントといえます。
ただし記事でもお伝えしたとおり、人によってはデメリットと感じる部分もあるかもしれません。そのためメリットとデメリットをしっかり確認して、自分に合っているかどうか考えてから始めましょう。
マウスピース矯正で口元の悩みがなくなれば、より毎日を笑顔で楽しめるはずです。
ぜひ今回の記事を参考として、マウスピース矯正を前向きに検討してみてくださいね。
この記事は私が監修しました
田邊 俊成
椿クリニック 院長